虹彩釉・鉄釉について

虹彩釉・鉄釉については、特に興味を抱いてきました。焼き物には、文化的、歴史的背景を理解していないと十分に理解出来ないものと、そのような素地がなくとも理解出来るものがあります。
虹彩釉や鉄釉はどちらかというと後者の部類ではないかと思います。それだけにぱっと見て惹かれるのかも知れません。

私が焼き物の世界に入ったのも、ご多分に漏れず、静嘉堂文庫蔵等の曜変天目茶碗の美しさに魅せられたからに他なりません。この曜変天目茶碗は、国宝3点、重要文化財1点の僅か4点しかないものですが、その美しさは比類がありません。

現在、数名の方がそれらに近い作品を発表されています。私は開窯して今年で35年目になりますが、やっと近年になり光彩の放つ釉薬を作り出すことが出来ました。情報に乏しい田舎に住まいし、窯業学校等を出て系統的な知識があるわけでもなく、またその研究のみを専らにすることは不可能ですので、試行錯誤の繰り返しでやっとある程度のところまで来ました。しかし、原料の関係か焼成の関係かよく分かりかねますが、再現性に乏しく、試行錯誤の毎日です。
ただし、今のところ、いわゆる曜変天目とは別種のものです。

曜変天目は、光の具合により微妙に色合いが変化しますので、モルフォ蝶の青く光り輝く羽のように、構造色による発色と思われます。私のものも、発色自体は構造色によるものではないかと捉えています。ただし、あくまで研究途上のものです。

最近は、鉄釉に取り組んでいます。先ずはメタリックな感じのする釉薬、具体的には銀色に発色する禾目天目釉に取り組んでいます。当初、光彩を放つ釉薬は何かしら特殊な成分を含んでいるのかと考え、その方面から取り組んできましたが、そうではなくむしろ最高温度に達してから冷めるときの還元雰囲気にあると知り、冷却還元の禾目天目釉に取り組みはじめました。

以上のものは、釉の調合はほとんど同じものです。冷却還元時の雰囲気により発色が異なってきます。
①:たまたま上手く銀化したもので、今のところ再現出来ていません。
②:実物を見ると、左のものとは少し違った感じで銀化しています。
③:銀色の斑紋が消えて烏盞になる一歩手前のもの。僅かに斑紋が残り、全体にメタリックな紺色です。
④:通常の焼成によるもの。
⑤:口辺部が赤茶のマット状になり、上手く銀化していないもの。
⑥:隣のものよりさらに赤茶色となり、全体にカサケているもの。焼成においては、このようなものやその隣のようなもの、もしくは烏盞のようにほとんど黒色になるものが大半です。

鉄は実に興味深い物質で、驚くほど冷却時の還元雰囲気に敏感です。今までの結果を掲げましたが、なかなか思うようには行きません。まあそこが面白いところなんですが。虹彩釉や鉄釉に興味関心のある方と交流できれば幸いです。

I’m looking forward to interacting with ceramists who are interested in brilliant glaze like a rainbow and iron glaze including Yohen-Tenmoku.

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Masato Ebihara
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海老原 正人(Ebihara Masato)